
ご飯 牛乳 あじの香味焼き 肉じゃが たくあん和え
普段は給食時間に、その日の話題によって、各学年の教室を訪問するスタイルをとっています。ホワイトボードを持って廊下を歩いていると、「今日はどこへ行くの」と聞よく話しかけられます。「〇年生だよ」と違う学年を答えてると、少し残念そうな表情になりますが、すぐに気を取り直して「また私たちの教室にも来てね」と笑顔で話してくれます。うれしい限りです。
このように、任意の教室を訪問するのとは異なり、あらかじめ指導内容や日程調整をして行う、訪問指導もあります。これからしばらくの間、高学年(4~6年)のみなさんと「すき・きらい」という内容について、一緒に考えていきたいと思います。
私が、「すき・きらい」について考えるきっかけになった出来事が、この仕事に就いて4年目のころにありました。ある小学校の4年生の教室を訪問した時、「私、きゅうりが嫌いなんです。どうしたら食べられるようになりますか」という質問をされたのです。
声の主は、涙目で、震えるような声を出している、小柄な女の子でした。
当時、給食センター勤務だった私と、その子は初対面だったと思います。きっと勇気を出して質問してくれたのでしょう。「栄養士の先生なら、助けてくれる」という期待を持って。
「頑張って食べていれば、そのうち平気になるから」。
こんな答えしか返せなかった自分に失望しました。
きっと、その子も私に失望したことでしょう。
それまで「すき・きらい」は、「わがまま」なのではないかという思いが、心のどこかにあったのだと思います。
たしかに「わがまま」という側面もあるかもしれません。でも、そんなに「つらくて」「悲しい」思いのまま、食事と向き合う必要があるのだろうか。嫌いなものがあることについて「本人が何か悪いことをした」のだろうか。しばらく、このようなことが、頭から離れなくなりました。
今回お話しする内容は、食事のたびに「つらくて」「悲しい」思いをしている子の心が、少しでも楽なになってほしいという発想で考えたものです。
まずは4年生から。「今日の給食で嫌いなものはありますか」という質問に、「ねぎ」という子が5人ほど。上の給食の写真を見ると、魚の皮の近くにくっついている、黒く焦げたようなものがねぎのようです。普通の人なら、気がつかずに食べてしまうようなものでも、嫌いな食材に対しては敏感になるようです。
このやり取りだけでも、私の「すき・きらい」に対する認識が、少し更新されました。