![](./?action=common_download_main&upload_id=11952)
![](./?action=common_download_main&upload_id=11950)
一雨ごとに暖かくなり、冬の寒さも少しずつ和らいできています。冬の名残を感じながら、春の訪れを待っていた草花に、命の力強さを感じる季節となりました。
今日の善き日に、佐屋中学校を巣立っていく171名の皆さん、「卒業おめでとうございます」
皆さんにお渡しした卒業証書は、義務教育の全課程を修了した証であると同時に、皆さんを様々な面で支えてくださったご家族の方に対する感謝の証でもあります。どうか、お家に帰ったら、感謝の気持ちを自分の言葉で伝え、家族の皆さんに卒業証書を渡してください。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。義務教育の9年間、そのなかには、語り尽くせない多くの喜びと、多くのご心配・ご苦労があったことと思います。今日のこの晴れ姿をご覧になり、感慨もひとしおのことと存じます。これまで3年間にわたり、本校の教育に対して、ご理解ご協力をいただき、お子様の成長のため、ともに力を合わせて進むことができましたことに、厚くお礼申し上げます。
これから、新しい環境で、また様々な困難に出会い、迷ったりくじけそうになったりすることがあると思います。どうぞこれまで以上に、お子様を温かく見守り、支え、励ましていただきたいと思います。お子様が健やかにたくましく成長されますことをお祈り申し上げます。
さて、卒業生の皆さん。皆さんと私はわずか1年間のお付き合いでした。そのわずかな期間に、皆さんの良いところをたくさん見せてもらいました。皆さんは、佐屋中学校の最上級生として、自覚と責任をもった素晴らしい活動をして、立派な成果を上げてくれました。
普段の授業はもちろん、学校祭などの行事や部活動・委員会活動で、常にひたむきに頑張る姿、一生懸命な姿を見せてくれました。
特に、生徒会活動では、校則の見直しについて、皆さんが入学した直後から当時の上級生と連携し、議論を重ねてきました。全校アンケートや地域の方への調査活動を行うなど、卒業までの3年間かけて、見直し案を吟味し提案し、実現に向けて尽力してきました。改正は次年度からのスタートとなりますが、次世代の佐屋中生のために、確かな足跡を残してくれました。実現に向けて、生徒会役員の貢献度はもちろん大きいと思いますが、3年生全員が3年間で築き上げてきた実績から教職員や保護者の皆様・地域の方々そして下級生との信頼関係につながったことがたいへん大きいと感じています。
また、今年度から始まった東北地方を含む3泊4日の修学旅行でも素晴らしい姿を見せてもらいました。皆さんの礼儀正しい振舞、きまりや時間を守り進んで行動できる姿、熱心に聞き入りメモを取る姿などについて、教育委員会の方々や現地でのガイドボランティアの方々はじめ、多くの皆様から称賛の声をいただきました。新しい形での修学旅行の先駆者として、下級生に引き継げるとても良い貢献をしてくれました。何事にも率先して取り組む、下級生にとって見本となる皆さんの姿に、頼もしさを感じました。
明るくたくましく成長した皆さんは、この佐屋中学校の大きな喜びであり、誇りです。今、新たな決意をもって上級学校へ進学する皆さんに、最後のお話をさせてください。
皆さんは、修学旅行で東北地方を訪れ、東日本大震災を通して、防災について多くのことを学んできました。気仙沼市の遺構・伝承館では、震災のわずか10日後に挙行された階上中学校の卒業式の様子が映し出されました。皆さんと同じ15歳の卒業生代表が「苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの私たちの使命」と涙ながらに語る様子は、とても印象深かったことと思います。多大な犠牲を払い、絶望的な状況の中で、「天を恨まず」と言えた中学生のなんと立派なことか。困難な状況を受け入れて、それに耐え、謙虚に力強く生きようとする決意を強く感じました。
その修学旅行からわずか半年後、今年の1月に能登半島地震が起きました。住んでいた家や家族、財産を目の前で失い、呆然とする人々の映像などから、私たちは大きな衝撃を受けました。でも、もっと驚いたのは、その地獄のような惨状からわずか一1か月ほどの間に、人々が復興のために前向きに生きていこうと努力を始める姿を目の当たりにしたことです。そうしたニュースに触れるたびに、極限に置かれた人間の心の強さ、偉大さに感心するばかりです。
これから、皆さんの長い人生では、たくさんの喜び、そして、様々な苦しみや悲しみが待ち構えてます。大勢が一度に被災する天変地異だけでなく、時には皆さん個人が被る苦しみ、悲しみもたくさんあることでしょう。そうした状況に陥った時に、辛い出来事を乗り越えてきた先人たちのように、「現実をしっかり受け止めて、前に進もう」と自らを奮い立たせ、前向きに力強く生きていってほしいと心から願っています。「時は確実に流れています。生かされたものとして、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかねばなりません。」先ほどの、階上中学校の答辞の中の一文です。
佐屋中学校を巣立つ皆さん、4月からぜひ胸を張り、自信をもって、力強く一歩を踏み出してください。そして、新しい出会いを大切にして、充実した上級学校での生活を送ってください。
名残は尽きませんが、皆さんの輝ける未来に、幸多からんことを心からお祈りして、式辞といたします。
令和6年3月6日
愛西市立佐屋中学校長 吉 次 章 浩