校内を歩いていると、もうすぐ入学して8ヵ月になるのに、なかなか席に座っていられなかったり、着替えや授業の準備がなかなかできなかったりする1年生の姿を見ることがあります。中には、今までできていたことができなくなったりし、「赤ちゃん返り」のように見える子もいます。少し心の栄養が足りないようです。
子どもたちが、自分自身を好きだと思えたり、少し難しいことにもチャレンジしようとする気持ちをもてたりするには、そのベースに「きちんと認められている」という安心感が必要です。その認められるというのは、「ありのままの自分」を認められることです。これが心の栄養です。
共働きの家庭、小さなお子さんがいる家庭、介護が必要な家族がみえる家庭、お父さんが単身赴任の家庭・・・・みなさんさまざまな環境の中で、一生懸命に子育てをしてみえると思います。そんな忙しい毎日ですが、たとえ3分でもいいので「その子だけのための時間」を作ってあげてください。学校であったことや思ったことなどとりとめもない話を聞きながら、「そっかー。でも大丈夫だよ。〇〇ちゃんのこと、大ー好きだよ!」「〇〇ちゃんは大事な子!」と、膝の上に乗せてぎゅっと抱きしめてあげてください。特に1年生は、言葉も伝わりづらく、いろいろなストレスをためて帰ってくることが多いと思います。話す内容に深く反応するのではなく、「ちゃんと聞いてるよ」「お母さんは、そのままのあなたが大好きで、大事だよ」ということが伝わればよいのです。
中には、「この子は少し育てにくくて苦手だな」と思っている方もいるかもしれません。でも、人間だから当たり前だと思います。ただ、やはり自分の子です。愛情をもって育てないと、後から良くない影響が出ると思います。なので、「(少し苦手だけど)あなたのことがとっても好きだよ。大事だよ。」と、作り笑顔でもいいので笑顔で言ってあげてください。生まれて初めて対面したあの時を思い出して!何度も繰り返しているうちに、本当にそう思えるようになると思います。
何かの講演会で、『人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる』というお話を聞きました。素直な気持ちでなくても、そう言いながら繰り返していくと本当にそういう気持ちになると思います。
子どもは自分の思うようには育ちません。しかし、親がしたように育ちます。子育ては、山あり谷あり、休みもなく大変ですが、親しかできない大切な仕事です。健やかな成長のために、お子さんが自分の理想とする子どもの姿でなくても、ありのままの今のお子さんの姿を受け入れて、認めてあげてください。
この三連休、ご家族で過ごす時間も多いと思いますが、「大好きだよ!」「大事な子!」とお子さんを抱きしめて、心の栄養をいっぱいあげてください。