本日、第69回佐屋中学校卒業式が行われました。
式 辞
春の息吹が諸処に感じられる今日の佳き日に、愛西市及び愛西市教育委員会、市議会議員の皆様をはじめ、多数のご来賓・保護者の皆様のご臨席を賜り、第69回卒業式を盛大に挙行できますことは、生徒、職員共々、この上ない喜びであります。ご臨席いただきました皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
さて、卒業生の皆さん。
君たちが入学してから早3年、部活動や学校行事など、折に触れ、そのたびに成長する姿を頼もしく見てきました。
その中で、とりわけ私の記憶に深く刻まれているのは、学校祭です。あの日、文化祭合唱コンクールでの君たちの澄んだ歌声は、今でも耳に残っています。また、体育祭では、夜半まで降っていた雨が上がり、早朝からグラウンド整備をしてくださった先生や生徒の皆さんの気持ちを映すかのように、次第に晴れ渡る青空の下、力いっぱい躍動する君たちの生き生きとした姿が思い出されます。あのとき、練習から本番当日まで、暑かった夏、そして台風や雨が多かった9月と、厳しい練習条件の中、君たち3年生は、共に手を取り合い、心を一つにしてやれば、ここまでできるのだということを、後輩達に素晴らしい手本として示してくれました。全員で新たな伝統の1ページを作った、そういうことだと思います。そんな君たちとこの佐屋中学校で出会えて本当によかったと思っています。
そんな君たちに私が話をするのも、いよいよ最後になりました。
「星の王子さま」を書いたフランスの作家サン・テグジュペリは、そのお話の中でこう言っています。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
本当に大切なものは目に見えない、その通りだと思います。
君たち一人一人がこの佐屋中学校で体験し、感じたもの、友情、団結、協力、思いやり、悔しさもあったことでしょう。この中学校生活を通して体験してきたこと、感じたことのすべてが、かけがえのない青春そのものです。
目に見えるものがすべてではない。どのような「思い」でそれをしたのか、どのような「気持ち」でそれを見たのかが大事なのです。その熱い「思い」や「気持ち」がなければ、本当の価値には気づくことができないのです。
君たちに質問をします。
「ありがとうの反対語」はなんでしょうか。
「ありがとうの反対語」は「当たり前。」です。
あなたは、今の生活、今ある幸せが「当たり前。」だと思っていませんか。
5年前の3月11日、東日本大震災は起こりました。それは私たちの平穏な日常を一瞬にして奪い、多くの命が失われるという過酷な現実を突き付けました。復興への努力は現在も続けられており、原発事故による放射能汚染やエネルギー問題は今も残されたままです。私たちは、「ともに生きている」ということ、「毎日がふつうに過ごせる」、そのことの有難さを心の底から実感しました。平穏な日々のありがたさや家族の絆、そして、それがいかに貴重なことであったかに気づきました。
君たちには、今の生活、今ある幸せが「当たり前」ではなく、ありがたい、ありがとう、そう感じる価値観を身につけてほしいと思っています。そして、世の中の出来事を心の目で見ること、曇りのない純真な目で見ることを忘れないでほしいと思っています。
今の時代は、少子高齢化や経済問題など、先行き不透明な材料も多く不安ばかりが大きくなってしまいます。しかし、若い君たちにはぜひ、人間らしい思いやりの心を持ち、感謝の気持ちを忘れず、人と力を合わせて、困難を乗り切っていってほしいと願っています。
新しい歴史は、やがて君たちが創りあげていく責務を負っています。この四月からは、それぞれが新しい場所で出発をします。まだまだ学ばなければならないことがたくさんあります。広い視野に立ち、心を広げ、身体を鍛えていかなくてはなりません。
そして、佐屋中学校の卒業生として、それぞれの夢をめざして、どうか胸を張って一歩ずつ進んでいってください。
それでは、卒業生の皆さん。君たちの明日からの前途に幸多かれと祈り、悔いの残らない確かな一歩を踏み出してくれることを願いながら、式辞といたします。
平成28年3月4日
愛西市立佐屋中学校長 吉川哲也











