『桜』②
みなさんのいない校舎。ぼんやりとした昼下がり。ふと、グランドの桜に目をやると、春はまだかと想いを募らせ風にゆれてる膨らみかけの蕾がいました。その姿は、みなさんと早く会いたいと思いを募らせるわれわれを見ているかのように感じました。
さて、「花見の自粛・禁止」、「開花宣言」という言葉が繰り返し報道されています。人々はなぜ「桜」にそんなに関心があるのだろうと思いませんでしたか。人々はなぜ「桜」に心を躍らせるのでしょうか。
日本最古の歌集「万葉集」を知っていますか。この歌集の中で、花といえば「桜」を指していました。しかし、奈良時代になると大陸から「梅」がやってきて、花といえば「梅」を指すようになりました。桜の時代は終わりをむかえ…ません。平安時代になると「花=桜」という流れが再び巻き起こります。次の歌から、桜がどれほど人々の心を動かしてきたのかみえてきます。
「伊勢物語」の中で在原業平が詠んだ歌。
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
もしも世の中にまったく桜がなかったなら、春を過ごす人の心はどれだけのどかでしょうね。
本来、春はのどかな季節でなのに、人々は桜が咲くのを待ちわび、散るのが気になり落ち着かない。桜があるために人々の心が穏やかでないことを述べ、人の心を騒ぎ立て、もどかしく思わせる力がある桜の素晴らしさを伝えようとしている歌です。
どうでしたか。古来より、「桜」には不思議な力があるということがわかりましたよね。新たな視線で、「桜」を見てみてください。きっとあなたにも、その魅力が伝わってくるはずです。
4月に咲きほこる桜の木の下で会いましょう。蒔田憲一
